- 発表者
リン・チュン・チェ/Lin Chun Chieh/林 君潔(台湾/肢体障害)
台北市新活力自立生活協会 事務局長
- ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業6期生
- リン/みなさん、こんにちは。台湾の新活力自立生活協会に勤務しています。障害者の自立生活からソーシャルビジネスの可能性についてお話しします。
- 自己紹介から始めます。私は台北出身で生まれつき骨形成不全という、骨が折れやすい障害をもっています。今、台湾で電動車いすと介助サービスで生活しています。台湾の状況は、バリアフリーが悪く、私たちと家族はすごく頑張っていろいろな困難を乗り越えて、大学にもいきましたが、卒業後、就職はできませんでした。
- でも、インターネットでダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業を知り、日本へ行くことができました。その研修プログラムで、私の人生は大きく変わりました。台湾で重度障害者だった私は日本に行き自由になりました。
- 2007年、日本の障害者団体の応援をいただき、台北市で自立生活協会を作りました。私たちの団体は、半数以上が障害者のスタッフで運営しています。障害種別を超えて、地域で様々な自立サービスを提供しています。
- バリアフリーチェックや権利擁護についても行っています。障害者団体との連携のみならず、台湾の女性団体、LGBT、ホームレス、弁護士団体ともネットワーキング(連携)しています。去年、コロナの影響で大変になり、お店などがすべて閉まっている中で、ホームレスの支援団体とネットワーキングして、食べものや生活用品などを障害者の家に送ることができました。私たちの自立生活運動は、人と人とがつながって、一緒に協力して社会を変えていくことが、大きな魅力だと思います。組織ではいろいろなことをやりましたが、一番大きいのは、2011年に日本で学んだ介助サービスを国の制度に入れたことです。そして2014年、職場介助サービスもつくりました。この制度はまだ不十分ですが、地域で少しずつ暮らせるようになりました。
- 写真は事務所の様子です(スライド6)。フルタイムのスタッフは4人います。パートタイムのスタッフが2人、10人くらい介助者もいます。事務所の隣にある自立生活体験室です。昨年はロータリークラブの助成金をもらい、いろいろな設備を作って、AI技術も導入しました。重度障害者は、音声やスマートフォンで操作できるようになりました。
- 電動ベッドや掃除ロボットなども操作できる設備を作りました。今、香港と台湾の会社とつながり、AI技術を開発していこうと思いました。1つのソーシャルビジネスになると考えています。しかし費用がかかるので、台湾の制度の中にいろいろな政策提案をして、補助をもらえるように今後していきたいと思います。今年1月に行った運動の様子の写真です。
- パキスタンの報告をしたいと思います。2019年にパキスタンフォーラムに行けて、とても嬉しかったです。先輩のシャフィックさんの事務所に行きました。行く前は重度障害者だから、とても不安でした。でも、先輩方が丁寧に手配してくれたので、安心していくことができました。これも彼らの運動のお陰です。また良い仲間もできました。フォーラムでは、ソーシャルビジネスや各地での頑張る様子をみて、とても勉強になりました。車いすで参加しました。私のパキスタンで乗っていたヤマハの車いすが壊れてしまいましたが、すぐに直してもらうことができました。新品みたいになり、嬉しかったです。本当に素晴らしい事業をしていると思います。
- 他の団体のソーシャルビジネスのことも、フォーラムで学びました。これは、女性団体が紙を使って、ネックレスなど、いろいろなものを作って売っている会社です。台湾に戻り、学んだことをシェアし、台湾でソーシャルビジネスを始める可能性をディスカッションするためのフォーラムを開きました。たくさんの参加者が集まり、日本からもゲストが来てくれました。
- 台湾での報告会では多様な人たちが集まり、強いインパクトを生むことができました。その中で支援者に出会いました。この2人は私たちの活動にすごく賛同してくれて、センターに寄付を送ってくれました。そして講義とイベントを依頼されました。コスト不要の販売ができるチャンスももらいました。今年からインターネットで販売しようと思っています。
- 依頼されたイベントの中では、障害学生の自立生活体験ツアーをすることになりました。私たちは南部にある大学に行って、障害者の自立生活を学生たちに紹介し、去年の11月に台北に来てもらい、バリアフリーについて話し合いました。しかし、去年の5月になり、コロナの感染拡大を受けて、ワークショップはオンラインでの実施となりました。コロナは大変ですが、オンラインの活用が増えたことで、仲間との会議はしやすくなりました。オンライン活用のための技術の勉強もできました。これからも、新しいワークショップを開発し、研修事業として自分たちの理念を伝えていければよいと思います。これもひとつのソーシャルビジネスにできるかと思っています。
- 雇用主、障害者の権利活動家たちもプログラムに参加してくださいました。インクルーシブな雇用創出について意見交換する機会となりました。フォローアップとして、このイベントの後、テクノロジーをベースとした雇用に向けた技能開発研修を実施し、雇用に結びつける民間企業も出てきています。
- 学生たちは、自分の要望や総統に対して伝えたいことをカードに書いて、渡すことができました。一緒に写真も撮りました。右側の写真は、総統府に行ってから数日後、総統府から送られてきた写真です(スライド18)。総統府にはもともとスロープが裏口にありましたが、私たちが訪れることで、全部スロープに変えてくれました。社会を変える力を持っていると認識しました。
- 今年、もうひとつ新しいプロジェクトも始めました。太陽エネルギー会社とつながり、公民発電所というプロジェクトです。これもSDGsにつながる活動だと思います。地球を守るため、太陽光発電をすることによって、利益が少しですが自立生活センターに入ります。
- 将来の方向性について、研修事業、AI技術開発、インターネット販売、バリアフリーツアーの4つのポイントに分けられます。これらが、どのようなソーシャルビジネスになるかを考えています。政策を変える事も大事ですが、一般社会のみんなに意識をしてもらいたいと思っています。こういうことを楽しんでやっていきたいと思います。
- みなさん、一緒に仲間になりませんか。誰一人取り残さない社会を、一緒につくりませんか。
- 最後になりましたが、今まで日本財団と日本障害者リハビリテーション協会のみなさんにたくさん協力してもらいました。これからも、どうぞ、よろしくお願い致します。
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