- 発表者
サミス・メイ/Samith May(カンボジア/肢体障害)
プノンペン自立生活センター 創設者、事務局長
- ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業8期生
- サミス/みなさん、こんにちは。この場で発表する機会をいただき、大変嬉しく、光栄に思います。カンボジアのソーシャルビジネスに関する学びと経験を、発表させていただきます。
- 私の障害はポリオです。障害分野で18年ほど関わってきました。2006から2007年にかけて、ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業に参加し、日本で自立生活について研修を受ける機会がありました。カンボジアに戻り、プノンペン自立生活センター(PPCIL)を2009年設立した創設者です。現在は事務局長をしています。
- プノンペン自立生活センターでは、自立生活運動、障害者のインクルージョンを目指し、活動しています。物理的なアクセシビリティの改善、介助者、障害者雇用を促す取り組みをしています。
- ここからは、パキスタンのフォーラムから学んだことをお話しします。パキスタンを訪問できたのは初めてでしたが、本当に素晴らしい体験でした。フォーラムで学んだことは、ステークホルダーと協力することの重要性です。また収入を創出することや、ソーシャルビジネスのモデルを見ることができました。何よりも大事だと思ったのは、パキスタンで新しい仲間を作れたことです。そして、素晴らしく美しい場所を訪問することもできました。
- パキスタンのフォーラムに参加後、ワークショップを同じように開きたいと思いました。ただ、2019年から開催することができずにいました。幸い、2021年11月に開催にこぎ着けることができました。ワークショップは障害者のインクルーシブなビジネスにフォーカスしました。ワークショップには障害者だけではなく、カンボジアのビジネス関係者、事業者も招きました。その場で、いろいろな議論ができることを願っていました。
- パネルディスカッションでは、すべての事業において、コロナウイルスの影響があるとの発言がありました。その他にも、障害者が経営する事業も市場競争に直面するということも議論に挙がりました。一方で顧客の信頼と信用を築くことが大事だということや、ビジネスを遂行するためには、意欲とリーダーシップが重要ということも話題に出ました。また、専門的な支援、職業訓練や雇用機会を拡大するには、専門的な支援が限られていること。物理的な構造や環境、障害者が扱いやすい環境は、職場や学校では限られているとも語られました。政府が責任をもち、障害者のニーズを把握し、とりわけ障害者で事業を立ち上げたいという意思がある場合は、政府は支援や融資を提供し、自らの事業を立ち上げられるようにするべきだという声もありました。
- 続いてPPCILが実施している、障害者のエンパワメントと雇用促進プロジェクトについて報告します。プロジェクトの目的は、障害のある人の社会参加を促すことにあります。農産物の加工流通を、プノンペン市内および近郊で広げたいと思っています。カンボジアの人たちは障害のある人は働けないというイメージを持っています。障害のある人も能力がある、働くことができることを示したいと思っています。ただアクセシビリティをよくするなどの調整は必要です。
- こちらが私たちの商品です(スライド18)。以前はクッキーでしたが、それはいったんやめ、ドライマンゴーやドライパイナップルなど、いろいろな種類のドライフルーツを作っています。そしてカシューナッツ、ローストカシューナッツも商品にしています。カンボジアの郊外、地方から運んでいます。そして新しい商品として塩漬けの黒コショウがあります。試作品として日本のレストラン向けに販売予定です。今は沖縄でテスト販売をしています。ファミリーレストランなどで、この塩漬け黒コショウを調理に使っています。現在はカンボジア国内を中心で販売していますが、日本からも注文があります。
- 続いて、プロジェクトの改善点について触れたいと思います。今のところ、商品の包装や表示ラベルのデザインが限られています。マーケティング戦略、プランを改善したいですし、障害者のための雇用ガイドラインも策定しようとしています。社会福祉省と協力し、今年中に完成することを目指しています。
- コロナの影響もあり、商品をたくさん販売することにはつながっていません。工場の賃料が非常に高く、今後、引っ越したいと考えています。土地を見つけて工場を作り、設備も整えたいと思っています。標準的な包装もデザインを作り、国内外で販売し、スケールアップしたいです。もっと雇用機会を障害者に向けて生み出し、このプロジェクトを続けていきたいと思います。今日は発表の場をありがとうございました。
Copyright © Duskin Leadership Training in Japan, All Rights Reserved.