- 質問A/スポーツの力というものについて伺いたいです。
- ラクシミ/スポーツはパワフルなツールです。先ほど申し上げましたが、物理的、精神的な障害者のウェルビーング(幸福、健康)だけではなく、前向きな態度を社会に醸成するのに役立ちます。若い女性や少女の障害者が自信を持つことができます。物理的に体を動かす機会が少ないので、このようなイベントを開催すると、自分自身の自己肯定感が高まったという報告を受けています。
- リン/昨年からAI技術を持つ会社とつながり、重度障害者のためにGoogleや設備を使って、音声で操作できる開発をしました。例えばGoogleを使いスマートフォンを使って、障害者が声で電気を点けたりなどすることができます。電動ベッドも操作できる設備を開発しています。でも、台湾は自分で買うと値段が高いので、障害者の政策に(経済的)補助を入れたいと思っています。みんなが簡単に手に入れることができるような政策になればよいと思いました。
- 質問C/ソーシャルビジネスの経営的観点から、各団体の取り組みについて、太田さんからアドバイスはありますか。
- 太田/ラクシミさん、事業が循環してサステナブルになっている部分、活動から支援をゲットするのか、何かを販売するのかなど、どういう仕組みか、教えて欲しいと思いました。
- ラクシミ/私たちのプロジェクトでは、我々の活動のほとんどが、国際的な補助金に依存しています。我々のメンバーのほとんどは、若い女性、障害のある女性なので、例えば女性の権利、フェミニスト組織から資金を得ています。数少ない活動の中では、ネパールの事業団体から資金を得ていますが、あまり多くはありません。そのためソーシャルビジネス、さきほど申し上げたものをしていきたいと思います。それによって、障害に関連する学校やホテル、そういったところで、ソーシャルビジネスをやっていきたいと思っています。
- 太田/ご回答、ありがとうございます。UNROOFの場合、最初は、自社ブランドは販売しようと試したのですが、正直うまくいかず、OEM(基調講演スライド21参照)に走りました。またコンセプトも規模も、ラクシミさんがやっていることのほうが大きいと思いますし、観点が違うかなと思いますが、1つ紹介したいと思った事業があります。もしかするとルーさんの事業にも親和性があるかなと思いますので合わせて紹介します。
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- 「デフサポ」という会社があります。ボーダレス・ジャパンではないです。独立した会社です。ここは女性の経営者がいますが、この方は難聴です。旦那さんもいて、夫婦そろってJOGGOのコンテンツマーケティングのプレーヤーとして入っていただいています。この方々はJOGGOよりも歴史が古く、先輩と言えます。本人が難聴ということで、手話もできますが、口の動きだけで何を言っているか、口話ができるのですが、ものすごくポジティブな方です。この方々がとった方法は「デフサポ」という会社です。これが基本的にはデフゼミという形で、聴覚障害を持った子どもたちをターゲットにしています。ご自身が当事者なので、その関係からこの方々がわかりやすい教材を作り、提供しているサービスがあります
言語発達についても並行して問題が起きてくることがあります。その親御さんや本人に対してカウンセリングやアドバイスをしています。この2つを軸として、ビジネスの根幹になっていて、ここだけでマネタイズができるようになっています。1つ、おもしろいことがあります。この方々が、さらにプラスで啓蒙活動、知ってほしい活動をしながら、さらに売り上げも得る方法があります。
このご夫婦が私のパートナーですがYouTuberです。172万4795回再生されています。この1つの動画だけで、細かくはわかりませんが、この半分は売り上げとなります。彼らはストイックになりすぎるのは面白くないと思っていて、「楽しい」を1つのキーワードにしています。動画の雰囲気を見てもらうとわかりますが、おもしろさ8割、まじめな部分は2割くらい。突っ込みながら、裏話など実際にやっている社長業務の裏側を動画を作って流しています。たくさん動画がありますが、172万回など、ほとんど100万回越え、上げる本数は、YouTuberによって違いますが、教育事業として成り立たせながらカウンセリングもしています。実際にソーシャル教材というマテリアルを、YouTuberは分かりやすいし、やりたいことの目的ができるような方法をとっています。
ルーさんは、先ほど手話で観光産業をやっていきたいとおっしゃっていました。私はタイに2回行きましたが、好きなところがたくさんあります。今、コロナだから海外からのお客さんはなかなか来られなくて、苦しい状況ではありますが、例えばYouTubeでタイのよいところを紹介したり、美味しいものを紹介したりできると思います。世界的に(発信することが)できたら、コロナが収まるまで、お客さんが来てくれるまでの、1つの要素になるかなと思いました。というところで1つの例を挙げてみましたが、ラクシミさん、ルーさん、このようなアイデアはいかがでしょうか。 -
- ラクシミ/とてもすばらしい一例ですね。我々も、Tick Tockを使ったものを考えています。若者に非常に人気だからです。1~3分ぐらいの動画を使ってメッセージを発信していけるのではと考えています。障害関連の側面を伝えらえるのではないかと思うからです。視覚障害者がどのような人生、生活を送っているのか。手話に関する情報も発信していけると思っています。導入段階には至っていませんが、今、見せてくださった事例は進めていきたいと思っています。
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- 太田/ありがとうございます。私たちJOGGOのブランドも、まさにティックトックを使おうとしているが、YouTubeを合体させると相乗効果があるので、よいと思いました。ルーさんはいかがでしょうか。
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ネイ・リン・ソウさん
- ルー/大変貴重なアドバイスをありがとうございました。確かにYouTubeもいいと思いますが、実際にやるとなると誰が(YouTube)に出るかを相談しながら、また編集を誰がするのかチームでやらないといけないと思います。一人では難しいと思いますので、チーム内で相談しながらになると思います。やはりYouTubeに出てもよい人、出たい人に出てほしいと思っています。また、YouTube作成には知識も必要です。収益につなげることも、よく考えないといけないと思っています。非常に良いアドバイスをいただきましたので、持ち帰ってメンバーと相談したいと思います。
- 太田/ルーさん、ありがとうございます。YouTubeをメインでやるのでなく、観光業が軸でよいと思います。売り上げを上げるのが正しいかわかりませんが、実際の観光以外で、そこに注視していけばコロナ禍でも進んでいけるかと思います。
- 太田/では、次はリンさんがおっしゃったところで、AIの話が出ていたので、そこについて進めます。リンさんは4つくらいの事業を進めていくといっていましたが、聞いていて、4つは多いなと思いました。段階的にですか、同時並行ですか。
- リン/4つやるのではなくて、その中から選んでビジネスになれればいいなと思っています。
- 太田/なるほど。いくつか試してみて、一番インパクトがありそうなものを選んでいくということですね。ありがとうございます。AIのところですが、画面を切り替えたいと思います。日本語しかホームページがありませんが、「ANOSUPO」というものです。ボーダレス・ジャパンの中に事業があり、国籍をもって自国で働いて暮らせるようにという、社会課題を打ち出しています。写真の男子ふたりがバックパックでいろいろなところを回ったとき、マレーシアやフィリピンで国籍をなくしてしまいました。そこで国籍の無い子が生まれてくるのを改善したいと生まれたのが「ANOSUPO」です。AIの開発とか、その代行サービスのようなものの開発もできるのですが、事業や企業の案件を末端の仕事で、誰でもできるからこそ、やりたがらない仕事、作業のところだけ引っ張ってきて作業するという、2つの事業があります。1つ目の開発は、技術やノウハウが必要で根幹の人たちがやっていくもの。後者の末端作業を代行していくのがこのビジネスのポイントです。そんなに詳しくなくても、パソコンスキルやAIに詳しくなくても、依頼を受けた案件のちょっとした修正や確認作業をする。それをやるだけで収益を得られるというモデルになっています。
(ホームページの)左画面を見てもらえると、ラベル付けとバウンティングボックス。画像のところのちょっとした修正という単純作業です。高い技術者はやりたくないが、ニーズがあるという小さい作業を営業して持ってくる。これを現地の方へ仕事として活躍してもらう。それが成立すると収益が出てくる。本体の会社もランニングでき、対象となる無国籍の子どもたちもしっかりと給与を得ることができる。自国に帰って申請し、国に住むことができる権利(国籍)をゲットして、安定した暮らしができるようになるのが、「ANOSUPO」という事業です。
リンさんがやろうとしていることとは種類が違うと思いますが、こうして開発ができるナレッジ組と、そこまではできないけどというグループに分けながら、今から需要の高まりそうなアノテーションサポートもありなのかなと思いました。私がアノテーションサポートにそんなに詳しくないので、説明が稚拙だったと思いますが、リンさん、いかがですか。こういった事例があります。
- リン/私たちは自分の生活の中でいろいろなニーズから、AIの技術を通じて便利な生活、ほんの少し自らで開発したいと思っています。どこまでできるか、会社と一緒につながりながら、一緒にチームワークで、一般の人が使うよりも障害者や老人、いろいろな人のためにもっと開発出来たらよいなと思っています。
ダオ・トゥ・フォンさん
- 太田/サミスさんは、お客様の信用を得る事が必要、EC販売とか、農作物を生産すると話していました。1つ、それぞれの国により状況も違うので、今後起きるか分からないのですが、今回の紛争の件もあり、穀物が高騰していて、食糧危機が来るという情報もあります。実際は分からないですが、例えば日本の場合、国の食物自給率が今は38%しかない。輸入に頼っている日本のような国が、高騰により入っているけど高くなると、食べるのが苦しい状況になることを考えると、家庭菜園など、今、日本でも着目されて増えているが、1つここで実際にある事業を紹介したいと思います。
ボーダレス・ジャパンの事業で、ローカルフードサイクリング「コンポスト」というのがあります。無農薬のものを、地産地消で循環させることをテーマに、コンポストを作った。生ゴミはものすごい量を捨てられている。私も経験がありますが、売っているのは中に入っているたい肥です。実際にいろんなところで出る生ゴミを、3か月くらいでよいたい肥に生まれ変わる。コロナ禍で、この売り上げがすごいです。都会でマンションしかない人や一軒家ならやりやすいが、結構、生ゴミ捨てたくないなと思っている方が多く、サステナブルに意識が高い層がだんだん広まってきている。そういう方々が家庭菜園しつつ生ごみを減らす方法として、思想的、商品的にもものすごいニーズがあるのが「コンポスト」です。
リスクとしては、虫がついたり、夏場は臭うというのがありますが、基本的にゴミの量が減るので、サステナブルを気にする人には気持ちがよいと思います。さらにたい肥で有機野菜を作れるのが重要なファクターです。小さなマンションに住む人には、恐らく、パセリや唐辛子、作れてもミニトマトとか、ボリュームあるものは難しい。一軒家の方で、庭がある人なら、玉ねぎやジャガイモなどもできて人気です。食糧危機の話をしましたが、もしそういうことが起きると、自給自足率を高めるとなると、さらに加速していくと思います。
各国で違うけれど、自給率が高すぎる国は、家庭菜園はそれほど大きなファクターではないかもしれない。こうしたビジネスも低いところなら世界的なニーズがあるかと思う。1つの事例として挙げました。サミスさん、いかがでしょうか。
- サミス/ありがとうございました、太田さん。お勧めいただいて、ありがとうございました。すごくうれしく思いました。カンボジアでは、一部、コンポストを進めているところもあります。肥料を作るところもあります。先ほどの私の農産品の加工品、ドライフルーツを進めていく中で重要だと思ったのは、私たちは、化学物質を使っていない、有機の、オーガニックなフルーツを作り、それを使ってドライフルーツにしたいと思っています。有機のものを使うと価格は高くなりますが、それはよいことだと思っています。どうすればもっと試したりできるかなと思いました。ご紹介いただいた肥料もどうやったら取り入れられるか考えながら聞いていました。
- 太田/ありがとうございます。私から、さらに皆さんに向けて、1つ、私がすごく好きな方法で成功に進んでいる企業、ブランドがありますので紹介します。「ヘラルボニー」を紹介します。「ヘラルボニー」のマスクをいまつけています。今、ホームページを出しています。ここが売っているのはアートです。日本語ですが、「異彩を、放て」がキーワードです。ヘラルボニーはこの言葉とともに、全国に点在する知的障害を持った方が描いたアート、こういったアートを描き、そのアートの展示料などで収益を得ています。
最後に私が皆さまに共有したいのは、ここです。ソーシャルビジネスとして成り立たせるためには、1つの売りポイントがあり、それ自体が市場で喜ばれる、選ばれるという価値が非常に重要。見せ方は人それぞれで、JOGGOの場合、バングラデシュの貧困問題を解決したいというワードは出ていないです。調べていったりすると、バングラのことや職人さんのことがわかっていき、そこでフーンという人もいるし、さらに好きになってくれる人もいる。みなさま、いろんな状況があるのでこれだけが1つではないが、長くやっていく、サステナブルでやっていくのに、価値を重要とする、そこがソーシャルビジネスのポイントではないかと思っていますので、共有させていただきました。
- 質問D/意見交換会からの参加になっている、ミャンマーのネイ・リン・ソウさん、ベトナムのダオ・トゥ・フォンさんのお話も聞きたいです。今回のイベントに参加するにあたって、「期待していたいこと」また「太田さんの話を聞いて、今後、活かしていきたいと思ったこと」、「新しい気づき」などがあればお願いします。
- ソウ/私の意見を共有させていただきます。このイベントは非常に素晴らしく、私だけでなく、ここで学んだことを団体に伝えたいです。私のパートナーやネットワーキング、多くの方々に広げていきたいです。私が学んだことは、ソーシャルビジネスは、私たちの組織のような障害者団体には非常に重要です。人々の支援に頼るわけにはかない。自分たちのアイデアを発信し、何か収入を得なければいけません。それにより自分たちの組織や障害者運動に貢献したいです。今日の議論は非常に有効でしたので、仲間に学びをシェアし、よい将来を我々のため、皆さんのために作っていきたいと思います。どうもありがとうございました。
- フォン/リーダーシップ研修でさまざまなフォーラムに参加でき、携わることができました。非常にパワーをいただき、障害者の権利を推進する力に出会うことができました。障害者のインクルージョンに、ベトナムで取り組みたいと思うようになりました。パキスタンでの障害者連携フォーラムは、私にとって気づきの場所になりました。心が動かされました。パキスタンの同僚が大きなことを成し遂げ、障害者をエンパワーしているところを、目の当たりにしたからです。私の具体的な活動、例えば障害者のためのアクセシブルな家、車いすの修理する仕事を与えることや、事業運営などの活動もそうです。また、投資の正しいアプローチも学べました。障害者をどうやって巻き込むかも学びました。
このフォーラム後、私が推進したいのは投資のことです。UNPDでも、社会的責任やビジネス、人権についてもやっています。日本企業が社会的責任を果たしているという、よいモデルを見つけ、特に障害者雇用の面で、ベトナムのビジネスに反映させたいと思っています。ベトナムでは、障害者雇用促進のための政策がありますが、実施とモニタリングはあまり機能していません。日本とベトナムとの連携から、障害者雇用を推進するためにやっていきたいと思っています。
- 司会/午前中にお話しいただきました、シャフィックさん、短く一言お願いします。
- シャフィック/プレゼンテーションを全て拝聴しました。そこで必要性を感じたのは、世界中のビジネスをつなぐポータルが必要だということです。Amazonやアリババなど、様々なポータルがありますが、ソーシャルビジネスに特化したポータルはないと思います。もしかしたら、私が知らないだけかも知れませんが。ソーシャルビジネスをつなぐポータルサイトのようなもの、ソーシャルビジネスに携わる人がオンラインで横断的にやり取りできる場が構築されたらいいと思いました。
本当の意味でのビジネスをするには、お金(儲け)の追跡やクオリティチェックも必要、デリバリーのメカニズム、輸送も必要です。ですので、ソーシャルビジネスの世界中の会社を横断的につなげるポータルがあれば、ソーシャルマネーも生み出せる。投資機会も提供できると思います。これは、そんな難しくないと思います。
- 太田/シャフィックさんが言ったこと、その通りだなと思っています。結構、ソーシャルビジネスは、私より先輩の方々もいます。やっている方がボーダレス・ジャパンで働くようになって、すごく会うようになりました。一緒にまとまったものがないと思っていて、同じ発想をもつ人が繋がって、販売経路が確立すればすごいなと聞いていて思いました。大阪の私のパートナーで、ソーシャルビジネスに特化したポータルサイトを作ろうとしている人がいます。キャパシティ的にできるか分からないですが、こういう話があったと共有して聞いてみようと思いました。
改めて、本日、貴重な機会にお呼びいただき、本当にありがとうございました。思ったことは、私より長く活動される方々が世界にいて、仲間と信頼関係を築いている。ここがすごく勉強になりました。ボーダレス・ジャパンでもよくあります。途中で辛くて「うーん」と辞めていく人も当然います。人によっては形は変わっていくと思うのです。今やっている事業を続ける方もあれば、形を変えてやっていく方もいっぱいいます。ボーダレスでよく言うのは、「一番大事なのは辞めないこと」とよく言います。形が変わるのはよいと思います。でも、気持ちを持ち続けて行動することが大事だと改めて思いました。本当に交流できてよかったです。また機会があればご一緒したいです。
- 司会/それでは時間となりましたので、これで終了致します。
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